「負の遺産」を造らないために
2019.05.25投資家様向け 山口のひと言
ネガティブな話題に事欠かない、最近の不動産投資市場ですが、特に我々の頭を悩ませているのが、賃貸住宅の建築ラッシュで起こっている急激な空室の増加です。
特に地下鉄徒歩10分圏内は、物件が乱立状態で、完成後なかなか空室が埋まらない状況が続いています。それにも拘らず、その隣でまた新規の建築が始まるという異常な状況なのです。
そんな中、入居の確実な地域を探して、ある土地を見つけました。最寄りの地下鉄やJRからは遠いですが、周辺を調べると新築の供給があまりされておらず、空いている物件と言えば、築20年以上の古い物件ばかり。早速、仲介業者にリーシング調査を頼みました。
その際、仲介業者からはファミリー層のエリアではあるが、1Kはどうかと勧められました。理由は計画地をさらに奥に進んだ所にある専門学校が、大学に変わり、学生の物件が不足しているとの事でした。
同じ企画をするのであれば、1LDKや2LDKより1Kの方がより部屋数が多く取れるのと、駐車場がほぼ要らなくなるので、収益が圧倒的に良くなります。
興味を惹かれその大学を色々と調べた結果、驚くべき事実が判明しました。なんと、近々他の場所への移転計画があったのです。 調べて正解でした。仮に知らずに計画を進めていたら、とんでもない「負の遺産」を作るところでした。
学生物件の恐ろしいところは、4月1日で入居が決まっていない場合、その年1年はまず入居が見込めない事と、学校が移転や編入で無くなる可能性がある事です。
事実、札幌近郊の大学で移転のため、それまであった学生向け物件が、閑古鳥が鳴いているエリアがあります。サイトで見ると、多くの物件が家賃1万円で貸し出されていました。それでもほぼ全空き状態です。
今後もし、学生物件を企画する事があれば、その学校の生徒数の変動や、通学の利便性など、将来予測をしっかりと立てて計画することが重要だと思います。
不動産企画部 山口